そう考えたとき、着付けを学ぶ方法でまず思い浮かぶのは「着付け教室」という方も多いはず。
しかし何かと怖い噂のある着物業界、
押し売りされたりしない?
というような疑問を感じる方もいるのではないでしょうか?
私も初めは不安を抱えながら着付け教室の口コミやブログを検索したのでよくわかります。
そこでまったくの着物初心者がゼロから「きもの着方教室 いち瑠(いちる)」で着付けを習った経験を正直にレビューします。
結論から言うと私は不快な経験をすることも不要なものを購入することもなく、3クール通算9ヶ月間通いました。
「これから着付け教室を選びたい」「着付け教室ってどんなところなのか知りたい」という方に参考にしていただければ嬉しいです。
着方教室いち瑠とは
運営会社
いち瑠を運営しているのは「株式会社 一蔵(いちくら)」という会社です。
着付け教室のほかに呉服や振袖の販売、レンタル、結婚式場の運営なども行なっています。
ちなみにいち瑠によく似た名前の着付け教室「いち利」「いち波」も同じ会社が運営しています。
教室の所在地
いち瑠の着方教室は全国に57校あります。(2024年2月時点)
現在は首都圏を中心に、ほとんどの教室が都市部の駅から徒歩圏内という好立地で開校しています。
教室には何度も行くことのなるので通いやすい場所だとありがたいですね。
いち瑠のセールスポイント
いち瑠のホームページでは、多くの受講者に選ばれている理由として9つのポイントを挙げています。
- 振替受講・夜間授業
- 手ぶらでらくらく無料レンタル
- 嬉しい2点セット
- オリジナルテキスト
- 少人数制
- お手入れ無料相談
- 上場企業が運営
- 動画で予習復習
- 資格取得制度あり
これらのうち実際に通った中で私が特に便利だと感じたのは①振替受講②無料レンタルです。
いち瑠では同じ級(初級、中級、上級など)の授業が開講されていて定員(約7名)以下のコマであれば、どの講師の時間でも振り替えて受講することが可能です。
また自宅に和装用品が何もない状態で通い始めても着物、帯、小物や着装道具まで全てレンタルしてもらえるので、何が必要なのかよくわからないうちに慌てて揃える必要がありません。
着物や帯はいくつも種類がある中から毎回好きなものを選べるので、さまざまな色柄を試して自分に似合うコーディネートを探すこともできますね。
そしてなんといっても初級は1レッスン500円(全8回、4,000円)という低価格で受講することができるので、お試し感覚で始められるのが魅力です。
しかも③入会特典として初回の授業で配布される肌着の2点セット(肌襦袢、裾除け)は受講料に含まれているので、初級は実質無料と言ってもいいでしょう。
- いち瑠の教室は都市部の駅近に多い
- 振替受講、無料レンタルで通勤・通学・育児の合間にも通いやすい
- 初級は実質無料なので気軽に始められる
受講までの流れ
行かなきゃ損な無料体験
いち瑠では入会前に無料で体験レッスンを受けることができます。
受けずに入会することも可能ですが、体験レッスンに参加した当日に入会すると入会金3,300円が無料になるのでぜひ行っておきましょう。
私が行った教室では体験レッスンに参加したからといって入会を強制されるようなことはありませんでした。
授業の開始日は4,7,10,1月の下旬なので、タイミングよく始めるには前月〜開始月上旬までの申し込みがおすすめです。
体験レッスン申込時の注意
- 体験申込のあとにはメールか電話で申込完了の連絡があります。連絡がない場合は迷惑メールフォルダ・着信履歴などの確認をして、届いていなければ申し込んだ教室へ連絡してみましょう
- 申込日の都合が悪くなったり体調不良になった場合など、メールや電話で予約の変更やキャンセルが可能です
- 同じ市内にいち瑠の別店舗がある場合があるので、申し込みの際は校名をよくご確認ください
体験レッスン当日の注意点とチェックポイント
体験レッスンでは服の上から長襦袢と着物を着て、名古屋帯(お太鼓)を締めます。
着姿の雰囲気を掴むため服装は衿ぐりの開いたトップスがおすすめです。
当日の持ち物は筆記用具と、その場で入会申し込みをする場合は受講費(全8回分、4,400円)を一括で支払うので現金を用意しておきましょう。
また髪の長い方はゴムやクリップで簡単に髪をまとめておくと衿元の確認がしやすくなりますよ。
当日は30分ほど教室やレッスン内容についての説明があり、その後1時間ほどで着付けを体験しました。
「体験レッスン当日の入会で入会金3,300円が無料」というキャンペーンがあるため、体験が終わるとすぐに入会するかどうか判断する必要があります。
焦って判断しないようにチェックポイントは事前に確認しておきましょう。
- アクセスのしやすさ
- 教室の雰囲気
- 講師の先生との相性
- 実際の授業の様子(大部屋が仕切られて隣のスペースで授業が行なわれていることが多い) など
- 体験レッスンでは衿ぐりの開いたトップスがおすすめ
- 筆記用具、現金、まとめ髪をするヘアアクセを持っていこう
- 気になるポイントは事前にピックアップして体験が終わる前にチェックしよう
授業の様子
授業の雰囲気はどんな感じ?
授業は先生1人に対して生徒4〜6人ほどです。
先生ごとに雰囲気は少し異なりますが、歓談しながらわきあいあいと行なわれるクラスが多いです。
逆に余分な会話はせず、先生も生徒もキビキビ動くエリートのようなクラスも。
一人の先生に継続して見ていただけるのもいいですが、いろんな先生がいるので振替受講を使って他のコマのレッスンを受けてみるのも楽しいですよ。
生徒の年代は20代〜40代が多い印象です。
いち瑠のホームページによると10代〜70代まで幅広い年齢層が通っているようです。
学生の方、仕事がシフト制で毎週同じ時間にはなかなか来られない方、育児中の方、お友達同士や母娘で一緒に受講されてる方などさまざまな年齢や立場の方がいました。
特におでかけ(後述します)の際は移動時間などに他の生徒さんと話す機会がたくさんあるので、着物友達を作るのを目的に通ってみるのもいいでしょう。
いち瑠では経験などに関係なく全員が初級からのスタートとなります。
経験者には少し物足りないかもしれませんが、道具や用語などまったく何も知らない状態でも一から教えてもらえるので初心者は安心してはじめられますね。
しかし他装(他者に着付けをすること)はかなり先のクラスのカリキュラムなので、早く他装を学びたい場合はいち瑠は不向きかもしれません。
カリキュラムはどんな感じ?販売会はある?
初級では長襦袢の着方、着物の着方、名古屋帯で一重太鼓の締め方、袋帯で二重太鼓の締め方を学びます。
使用するのは以下の道具です。
- 腰紐・・・4本
- 伊達締め・・・2本
- 帯板(ゴム付き)
- 帯枕
- 帯揚げ
- 帯締め(丸組)
- きものクリップ(大小)・・・各1個
- 衿芯
- 長襦袢
- 着物
- 帯
- 補正パッド(初級はレンタルあり。教室で販売もしているし、手持ちの物やタオルで代用も可)
注意)次の3つは毎回持参しなければならない物。風呂敷で包んで持ってくることを推奨されます。
- 肌襦袢、裾除け →初回授業で配られる(授業料に含まれる)
- 足袋 →自分で用意する必要がある(教室で購入可)
全8回の授業のうち大半は実技ですが、それ以外に座学、修了試験、おでかけがあります。
座学
テキストと実物の反物を使いながら、着物や帯の種類とTPO(時と場所に応じた着物の選び方)などを学びます。普段はなかなか手を出しにくい価格の反物を見たり触ったりできる貴重な機会です。
修了試験
実技+筆記試験があります。試験といっても不合格はないようです。実技では30分で長襦袢の状態から着物を着て、名古屋帯で一重太鼓を結びます。筆記試験では座学の時に学んだ”着物や帯の種類とTPO”や”着物や帯の部位の名称”などが出ます。
おでかけ
授業中に近場へ出かける”プチおでかけ”と、一日がかりで遠出する”おでかけ講座”があります。私はおでかけ講座で織元の見学などをしました。このとき着物や帯はいつも通りレンタルしてくれますが、草履やバッグは自分で用意する必要があります。
この座学とおでかけ講座のときに、みなさんが不安に思っているであろう販売会があります。
講座や工房見学 ⇒ さっき見た反物を実際にあててみる(購入可)という流れです。
この時は他の教室からもヘルプの講師がやってきて、マンツーマンでの対応になります。
結論から言うと、購入してもしなくてもその後の扱いなどに影響はありません。
一蔵は問屋を通さず生産者と直接取引しているため、同じ品質でも百貨店などよりは低価格で購入できるそうです。
が、それでもやはり反物+お仕立て代で数万〜数十万円はするので、私は購入できませんしませんでした。
ただ生産者やお世話になっている先生に対面ですすめられると断りづらいという気持ちはとてもよくわかります。
「お値段が・・・」とやんわり断ると電卓が出てきて「いくらならいける?」「これなら月々〇〇円で済むよ」という方向に会話が発展することも。
そのため最初から「◯◯円以上は買えません」「今は新しい着物は必要ないので」など最初にはっきりお伝えしてから販売会にのぞんでみたら、お互いムダな労力を使わずに済むのだと学びました。
こういった一連のやりとりが嫌だと言う方は、その回は欠席するか販売は一切ないと明言している教室やオンライン講座も検討してみましょう。
初級が終わったあとは?
ここまででカジュアル〜セミフォーマルまでの着方を学ぶことになりますが、初級の授業だけでは手順を覚えるので精一杯で「美しい着姿」とはなかなか言い難かったです。
そこで次の中級では着姿のブラッシュアップを目指して細かなコツを学びます。
ちなみにさらに先の上級では銀座結びやポイント柄の帯結びなどを学んで着こなしのバリエーションを増やします。
より美しい着姿を極めたい方、資格取得を目指す方、教室に通うのがただ楽しいという方は次の級へ進みましょう。
ただ初級の授業だけでも着方を学ぶには十分ですので、あとは自分で本や動画などで学ぶもよし、どんどん着てどんどんおでかけして経験値と自信を育てるのもよしだと思います。
- いろんな先生や生徒がいるので雰囲気が合わなかったら振替受講しよう
- 試験はあるけどあまり身構えないで大丈夫
- 販売会は曖昧な態度はNG!先にスタンスを伝えておこう
- 初級で手順を覚えたら目的に合わせて進級するかどうか選ぼう
まとめ
今回の記事では「きもの着方教室 いち瑠」で着付けを習った経験をレビューしました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
イチ押しポイント
- いち瑠の教室はアクセスの良い場所にあり、振替受講、夜間授業、無料レンタルもあるため通勤・通学・育児の合間にも通いやすい
- 無料体験レッスンで入会金0円、初級受講料も実質無料なので気軽にはじめられる
- 初級だけでも着方やTPOなど基本的な知識を得られる
- さまざまな着物・帯・反物やコーディネートに触れる機会があり、大手着付け教室ならではの経験ができる
気になるポイント
- 一律で初級から開始なので経験者には物足りない
- 全部で8回通わなければならないので時間のない人には不向き
- 他装を学べるまで時間がかかる(5回進級する必要がある)
- 強制はされないが販売会がある
最初は着物業界の悪いイメージが先行して不安がありましたが、着付け教室は思ったより怖くない気軽に通える場所というのが全体的な印象です。
もちろんこれは個人の感じ方や教室ごとの方針の違いで差が出るかもしれませんが、もし友人が着付けに興味を持ち始めたらいち瑠はおすすめできると感じました。
この記事を読んで着付け教室に興味を持った方がいれば、いち瑠のホームページを覗いてみて他の教室とも比較してみてください。